赤ちゃんの虫除け対策ガイド! -ママの疑問を解決-
暖かい季節になると元気になる蚊などの虫。行楽やアウトドアといった外で過ごす機会が増えると共に、肌の露出も多い季節なので、虫刺されトラブルにあう赤ちゃんがたくさん!
赤ちゃんの虫除け対策について、皮膚科医の原みずき医師の監修のもと、ママが疑問に感じるポイントを解説します。
赤ちゃんは虫に刺されるとどんな症状が出る?
刺された翌日以降に遅延型反応が出ることも
赤ちゃんが虫に刺されると、大人と同じように、刺された箇所が赤くはれ上がりかゆみが生じます。大半は刺された直後に症状が現れる「即時型反応」が起こり、1日~数日で落ち着きます。
ただ赤ちゃんの場合、翌日以降に症状が出る「遅延型反応」が起こることもめずらしくありません。
はれやかゆみがひどいときは、かきこわしに要注意
虫に刺されたときの皮膚のはれやかゆみは"アレルギー反応"によるものですが、赤ちゃんや小さな子供はその反応に慣れておらず、大人よりも症状がひどくなりがちです(ただし、初めて刺されたとき~数回目では免疫が反応せずに、かえって症状がほとんど出ないことがあります)。
かゆみがひどいと患部をかきむしってしまうことがあるので、悪化しないように防いであげることが大切です。かきこわした皮膚の傷に細菌が感染すると、「とびひ」になってしまうことがあります。
蚊を介して感染する病気に日本脳炎があります。日本脳炎とはウイルスを持つ豚を刺した小型アカイエカに刺されることで感染する病気です。
感染しても症状が出ないことがほとんどですが、一度発症すると高熱や頭痛、嘔吐を伴い、死亡率や後遺症の確率も高くなります。
予防接種が唯一の予防手段となり、定期接種に含まれているため(3歳で2回、4歳で1回、9~12歳で1回)、漏れなく受けるようにしましょう。
赤ちゃんが虫に刺されたらどう対処・ケアすればいい?
すぐに流水で洗い、2~3日様子をみましょう
赤ちゃんが虫に刺された際は、まずは患部を流水で洗い清潔にします。多くの場合、症状は自然とよくなるので、2~3日ホームケアで様子をみて構いません。
かゆみがあれば、濡らしたタオルなどで冷やしてあげるとかゆみがやわらぎラクになります。生後1ヶ月頃から使える乳幼児向けのかゆみ止め(抗ヒスタミン薬)が市販されているため、塗ってあげてもよいでしょう。
皮膚がしっかりしてくる1歳頃になれば、虫刺されパッチを貼ってもOK(皮膚に負担がかかるため月齢の浅い赤ちゃんへの使用は控えてください)。かきこわしを防ぐために、赤ちゃんの爪は常に短く切っておきましょう。
蚊やダニ以外の虫に刺されたときは受診を
ただし、症状が強いときや数日経っても治らないとき、そのほか心配なことがあれば、医療機関(皮膚科または小児科)を受診してください。
また、蚊やダニ以外のムカデや毛虫、ハチなどの虫に刺された場合は、はれやかゆみが強いため、日を置かずすぐに病院を受診しましょう。
強いかゆみには、ステロイドが配合されたかゆみ止めの塗り薬が処方されることがあります。ステロイド薬は、医師の指示に従い正しく使用すれば問題ありません。
赤ちゃんに安心の虫除け対策を知りたい!
赤ちゃんとのお出かけを心置きなく楽しむためにも、虫除け対策は万全に!だけど、赤ちゃんに忌避剤を使うのは心配…。そんなママも、次のポイントをぜひ知っておいてくださいね。
虫除けスプレーは成分をチェックしましょう
赤ちゃんに使う虫除けスプレーは、舐めても安全で、肌に優しい成分を使っているものを選びましょう。成分がよくわからない大人用虫除けスプレーなどは使わないようにしてください。
赤ちゃんや小さな子供向けには、虫が苦手な天然由来のアロマ精油を配合したものが主流です。虫除け有効成分の「イカリジン」が配合されているものも、使用に際して年齢制限がなく、小児向けとして販売されています。「ディート」は年齢制限や1日の使用回数に制限があり、使用部位にも注意が必要です※。
※参考文献:ディートを含有する医薬品及び医薬部外品に関する安全対策について|厚生労働省
アロマ精油 | レモングラスやレモンユーカリ、ローズマリー、シトロネラ、ゼラニウムなど虫が嫌がるアロマ精油の香りで天然のバリアをします。化合物の忌避剤を含まない分、肌に優しく赤ちゃんにも使える反面、マイルドな使い心地。化粧品に該当します。 |
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イカリジン | 2015年に日本でも使用が可能になった虫除け有効成分。同じく化学成分のディートと異なり年齢制限や使用回数に制限はなく、乳幼児から使えるとされています。厚生労働省が定める規定量が配合されたものは防除用医薬部外品に該当します。 |
ディート | 広く使用されている一般的な虫除け有効成分。生後6ヶ月未満には使用しないこと、生後6ヶ月~12歳未満は年齢によって使用回数に制限があります。顔面への使用も注意が必要。ディートの濃度によって防除用医薬部外品と医薬品に分かれます。 |
虫除けスプレーを選ぶときは、成分と使い方がきちんと記載されているものを選びましょう。
また、初めて虫除けスプレーを使うときは、二の腕の裏など皮膚の柔らかい部分でパッチテストをしてから使うと安心です。
◆シールタイプやクリップタイプもあります◆
肌荒れや日焼けをしていて肌に直接虫除けスプレーを塗りたくないときは、服や帽子につけるシールタイプやクリップタイプ、手足首につけるリングタイプもあります。
こちらも乳幼児向けはディートフリーの天然アロマ精油配合でできているものが多いです。
一般的に、肌に直接塗るものに比べて効果は劣る傾向があるので、用途に応じて取り入れるとよいでしょう。
虫除けスプレーの上手な使い方
お出かけ前のスキンケアは保湿 →日焼け止め →虫除けの順番で
スキンケアの基本は保湿から。赤ちゃんの肌は敏感で肌荒れしやすいですが、保湿することで肌のバリア機能が高まり、外部刺激や紫外線の乾燥から守ってくれます。顔・全身にたっぷりと塗ってあげましょう。
次にお出かけ前のアウトドア対策。日焼け止めと併用するときは、先に日焼け止めを塗って肌になじんだ後に、上から虫除けを重ねると効果的です。
虫除けはムラなく伸ばして塗り残しを防ぐ
腕や脚など面積が広い部分には、まず虫除けをまんべんなくスプレーした後、ムラができないよう手で塗り伸ばします。ひざの裏などくびれ部分はムラができやすいです。
顔や耳など細かい部分は、ママ・パパの手の平に一度取ってから塗りましょう。顔に塗る際は目や口の周りを避けてください。
また、虫除けの独特なにおいに敏感な赤ちゃんもいるので、様子をみながら使ってあげてくださいね。
効果は長くは続きません。2~3時間おきに塗り直して
長時間のお出かけでは効果を持続させるため、2~3時間おきを目安に、虫除けスプレーをこまめに塗り直しましょう(ただしディートは1日の使用回数に制限があります)。
汗をかいたりタオルで拭いた後は落ちやすいです。蚊に刺されやすい部分は特に注意してください。
目や口に入ってしまったらすぐに洗い流しを!
誤って虫除けスプレーが目や口に入ってしまったときはすぐに流水で洗い流します。
大量に入ってしまった、赤ちゃんなので十分に洗えない、そのほか不安な症状があれば医療機関を受診してください。その際は使用している虫除けスプレーを持参し、配合成分も医師に伝えるようにしましょう。
目を離した隙に子供が一人でスプレーを押して遊んでいて…といったケースは少なくありません。まずは子供の手の届かない場所に保管しておくことが大切です。
衣類やお出かけ場所で工夫することも効果的
虫除けスプレーを使う以外にも、外に出るときは通気性のよい長袖の羽織り・長ズボンを着用して肌の露出を抑えると効果的です。ただし、気温が高く蒸し暑い時期は、熱中症対策も気を付けてください。
また、蚊は水たまりで発生するので、池のある公園や草むら、排水溝の近くを避けるなどの工夫をするとよいでしょう。
室内ではどんな虫除け対策ができる?
まずは蚊を室内に侵入させないこと
もちろん家の中にも蚊は入ってくるので、室内での虫除け対策にも気を遣ってあげたいところ。窓やドアは開けっ放しにせず、帰宅時は蚊が一緒に入ってこないよう注意して、体や荷物にもついていないか確認してください。
吊り下げタイプの虫除けは室内とベビーカーで使えて便利
また、赤ちゃんにも使える吊り下げタイプの虫除けなら、外出時はベビーカーに、室内ではベビーベッドに使えて便利です。においがきついものがあるので、香りの調整ができるものがおすすめ。
置き型の虫除けや蚊取り線香については、乳幼児や妊婦にも使えるものがほとんどですが、定期的な換気が必要などの注意点があります。メーカーの注意事項をきちんと確認してから使うようにし、赤ちゃんが触れない場所に置くようにしてください。
物理的に蚊を寄せ付けないベビー蚊帳を活用する方法もありますが、タイプやサイズが様々なので、それぞれの環境にあったものを選ぶとよいでしょう。
赤ちゃん用の虫除けや衣類で肌を守ってあげましょう
赤ちゃんの虫除け対策の基本は、安全な成分でつくられた肌に優しい専用タイプを選ぶことです。そのうえで使用上の注意を確認して、正しく使いましょう。また、衣類や帽子でガードすることも効果的です。
ベビー連れでの外出は虫刺されや紫外線など心配事も多いですが、赤ちゃんのためにもしっかり対策してあげてくださいね。