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赤ちゃんのあせも対策ガイド!知っておきたい治し方と予防ケア

【初めてママ・パパも安心】赤ちゃんの保湿対策ガイド!保湿剤の選び方や使い方

赤ちゃんに多い皮膚トラブルのひとつ「あせも」。
梅雨の時期から夏の間によくみられますが、赤ちゃんは大人よりも汗をかきやすいため季節を問わずケアが必要です。

ここでは、皮膚科医の原みずき医師の監修のもと、あせもができてしまったときの正しい対処法や薬について、自宅でできる予防法までわかりやすくご紹介します。

赤ちゃんのあせもってどんな肌トラブル?

赤ちゃんのあせもってどんな肌トラブル?

あせもは医学用語で「汗疹(かんしん)」といいます。赤ちゃんにできやすい皮膚疾患のひとつで、多くの場合、かゆみを伴います。

赤ちゃんや子どもに多い疾患ですが、近年では夏の猛暑などにより、大人に起こることも少なくありません。

あせもの原因は汗

あせもの原因は汗

汗をたくさんかくと、汗に含まれる塩分や皮脂・ホコリなどの汚れで、汗腺と呼ばれる汗の通り道がふさがってしまうことがあります。すると、行き場のなくなった汗が皮膚の中でたまって炎症を起こし、水ぶくれや小さな発疹ができます。これが「あせも」です。

また、汗が蒸発して残った塩分や汚れは皮膚に刺激を与え、肌のバリア機能を壊してしまいます。その結果、より炎症を起こしやすくなってしまいます。

赤ちゃんにあせもができやすい理由

赤ちゃんにあせもができやすい理由

赤ちゃんは新陳代謝が盛んなうえに、小さな体に大人と同じ数の汗腺があるため、汗腺が集中していて大人よりも汗っかき。赤ちゃんの汗の量は大人の約3倍といわれています。

さらに、関節などがくびれていて、汗がたまりやすいということも、あせもができやすい原因になります。

赤ちゃんの皮膚は薄く、バリア機能も未熟

赤ちゃんの皮膚は大人よりも薄くて乾燥しやすく、肌の健康を守るバリア機能も未熟です。そのため、外部刺激に敏感で肌トラブルが起きやすいのが特徴といえます。たくさんの汗をかいて汗腺が詰まったまま放置すると、すぐにあせもができてしまいます。

▼大人の肌と乳幼児の肌のバリア機能の違い

赤ちゃんの皮膚は薄く、バリア機能も未熟

赤ちゃんがなりやすいあせもの種類

あせもには種類があり、汗詰まりが発生する深さによって分類されます。深いところで汗が詰まるほど治りにくく、症状が重くなります。ここでは、赤ちゃんがなりやすい2種類のあせもを紹介します。

水晶性汗疹(白あせも)
水晶性汗疹(白あせも)

水晶性汗疹(すいしょうようかんしん)は、汗腺が詰まって体外に排出されなくなった汗が皮膚の浅い部位にたまった状態。
直径数mmほどの小さな水ぶくれがポツポツとでる症状で、一般的に赤みやかゆみはありません。見た目から「白あせも」とも呼ばれています。赤ちゃんに比較的多いあせもで、数日で自然に治ることが多いです。

紅色汗疹(赤あせも)
紅色汗疹(赤あせも)

紅色汗疹(こうしょくかんしん)は、水晶性汗疹よりもやや深い部分に汗がたまることでおこるあせも。
直径1~2mm大ほどの赤いポツポツとした発疹ができる症状で、汗がたまりやすい首・肘・膝などに発症しやすいです。見た目から「赤あせも」とも呼ばれています。かゆみが強いため掻きむしってジュクジュクしたり、細菌感染を起こすこともあります

あせもが悪化すると感染症になることもある

白いあせもは自然に治ることが多いですが、炎症を伴う赤いあせもは要注意。かゆみが強いため皮膚を搔きこわして傷になると、細菌が感染して「あせものより(多発性汗腺膿瘍)」や「とびひ(伝染性膿痂疹)」になることもあります。治療を長引かせることになり、赤ちゃんにとって負担が大きいため日頃からの予防や早期治療が大切です。

あせもができやすいのはココ!

あせもができやすいのはココ!

あせもは体のあらゆる部位に起こりえますが、赤ちゃんの場合は汗で蒸れやすく皮膚が重なり合っている部位に起こりがちです。例えば、頭や首まわり、わきの下、手足のくびれなどによくみられます。

また、乳幼児の場合はオムツのギャザー部分や背中にもあせもができやすいので、おむつ替えやお風呂などであせもができていないかチェックしましょう。

ママに聞いた赤ちゃんのあせも体験談

生後8ヶ月のとき、背中に赤いブツブツが…。それ以降、汗をかきやすい春夏になると、ひじの内側やひざの裏側などに赤いあせもができるようになりました。処方してもらった塗り薬をつけて、肌を清潔にしていたらすぐに治りました!
Sさん(4歳6ヶ月の男の子と生後1ヶ月の男の子ママ)

赤いブツブツができたので最初はおむつかぶれかと思い、病院に行くとあせもと診断されました。汚れていなくても、汗でおむつがしっとりしていたらこまめに変えるように気をつけています。
Tさん(1歳3ヶ月の女の子ママ)

夏になると、ひじの関節やひざの裏にあせもができるので、水遊びのついでに汗を流しています!体を拭いた後はすぐ保湿できるように、水遊びの前にタオルとローションをセットしています。
Kさん(2歳10ヶ月の女の子ママ)

赤ちゃんにあせもができた場合はどうする?

対策していても肌トラブルは起こるもの。慌てずにすむよう、正しいホームケアの方法を覚えておきましょう。

皮膚を清潔にしてあせもの悪化を防いで

赤ちゃんにあせもができた場合はどうする?

汗や汚れはかゆみを助長し、あせもの悪化につながるため皮膚の清潔を心がけて。汗をかいたらシャワーでサッと洗い流す、着替えさせるなどのケアを続けて発疹を掻きこわさないように様子をみます。お風呂のときは、よく泡立てた石けんでなでるようにやさしく洗いましょう。

軽いあせもの場合は、シャワーと保湿のスキンケアを続け、涼しい室内で過ごしていると治ることが多いです。自宅ケアでなかなか症状が良くならない、悪化した場合はかかりつけ医を受診しましょう。

かゆがるときは患部を冷やす

かゆがるときは患部を冷やす

あせもを掻くとかゆみが増したり、細菌が入り込んで感染症にかかるリスクが高まります。掻きこわして悪化させないよう、爪はこまめに切るようにしましょう。角を落とすように滑らかに整えておくのがベター。

かゆみ症状を我慢できずに搔きむしってしまう場合は、患部をガーゼに包んだ保冷剤や濡れタオルなどで冷やして、かゆみ症状を緩和させることができます。

それでも搔いてしまうようでしたら、ミトンをつけて皮膚を傷つけないように保護するのもひとつです。

あせもがひどい・治らない場合は受診

あせもがひどい・治らない場合は受診

発疹の数が多い、あせもが広い範囲にわたってできている、かゆみ症状が強いなどの場合は、かかりつけの皮膚科または小児科を受診しましょう。症状によっては弱いステロイドのぬり薬が処方されることもあります。

▼病院へ連れていくタイミングの目安

  • 白いあせもが赤くなってきた
  • 赤いボツボツがたくさんできた
  • かゆみがあり、掻きむしってしまう

また、一度治ったにもかかわらず同じような症状を繰り返したり、改善がみられない場合は、アトピー性皮膚炎など別の病気の可能性もあります。早めに受診して、医師の診断を受けましょう。受診するときは、医師に赤ちゃんの症状をより正しく伝えられるように、経過のわかるような写真があると安心です。

ステロイド外用薬は用量・用法を守って使いましょう

ステロイド外用薬は用量・用法を守って使いましょう

ステロイドと聞くと怖く感じられるママも少なくないかもしれませんが、医師の指示通りに使用すれば数日で治るといわれています。

赤ちゃんに処方されるステロイドは、成分の強さがmild(普通)~weak(弱い)ランクのものが多く、医師の指示に従い、用量・用法を守って使えば問題ありません。ステロイド薬を適切に使い、短期間でしっかり炎症を抑えてあげることも大切です。

また、市販薬を使用する際は、薬剤師へ相談のうえ赤ちゃん用のものを使用するのが好ましいですが、できるだけ医師に診てもらい、症状に合わせたより適切な塗り薬を処方してもらいましょう。

赤ちゃんのあせも予防のポイント

軽い症状の場合であれば、適切なホームケアでも十分よくなります。基本のホームケアを普段から徹底することで、あせもを予防することも可能です。まずはお家のケアをぜひ実践してみてください!

汗をかいたままにしない

汗をかいたままにしない

あせもは汗がたまることによって発症するため、汗をかきっぱなしにしないことがなにより大切。汗が乾いて肌は一見さらさらしていても、汗の水分が蒸発しただけで、塩分は肌に残っています。

汗をかいた後はぬれたタオルやガーゼで優しく拭き取るか、シャワーなどで洗い流してあげましょう。ぐらつかずにおすわりができるなら、水遊びをするのもおすすめ。

また、汚れがひどくない限り、石けんを使って洗うのは1日1回で十分です。必要な皮脂まで落とし、肌の乾燥につながるので洗い過ぎはNG。石けんで洗うときはしっかり泡立て、たっぷりの泡でやさしく洗いましょう。泡で出るタイプのベビーソープなら泡立て不要なので便利です。

あせも予防は保湿も大切!

あせも予防は保湿も大切!

肌が乾燥すると皮膚を守るバリア機能が低下して外部刺激を受けやすい状態となり、あせもをはじめ、さまざまな肌トラブルの原因となります。肌トラブルを避けるために、夏でもベビーローションなどで肌を保湿し、潤いのある状態を保つことが大切です。

特に、シャワーや入浴後は水分が失われ、肌が乾燥しやすいタイミングです。入浴後は5~10分以内を目安にできるだけ早く保湿してあげてください。また “何回まで”という決まりもないので、エアコンの乾燥が気になるとき、汗を拭いた後など、こまめに保湿をしてあげましょう。

部屋の温度と湿度管理

部屋を涼しくすることで汗をかきにくくなり、あせもの予防につながります。近年では特に夏場、猛暑日が続いているので、エアコンや扇風機、除湿器などを上手に使って快適な温度を保ちましょう。目安は26~28度ぐらいです。冷風が赤ちゃんに直接当たらないように注意しましょう。

\適度に汗をかくことも大切です!/

赤ちゃんの汗腺の数は大人と同じですが、全てが機能しているわけではありません。汗をかくことで活発化し、2才ごろまでに発達して体温調整ができるようになるため、汗をかく経験は必要です。赤ちゃんが適度に汗をかけるよう、気温がそれほど高くない早朝などには、自然の風や扇風機だけで過ごすとよいでしょう。

衣類の選び方のポイント

衣類の選び方のポイント

通気性や吸湿性がよく、締め付けないデザインの下着や衣類をたくさん用意し、こまめに着替えさせましょう。エアコンなしの室内で過ごすなら、肌着1枚にするなど赤ちゃんの様子をみて調整するとよいでしょう。

暑いからといって、ノースリーブやタンクトップを着せると、わきの下に汗がたまりあせもの原因に。汗を吸う半袖など袖のあるものを着せてあげましょう。素材は汗をよく吸う綿素材のものがおすすめです。

\冬でも要注意/

暖房の効いた室内で着せすぎると冬でもあせもができることも。暖かい場所に移動したときや体を動かしたときなどは、赤ちゃんの様子をみながら服装で体温調整してあげましょう。赤ちゃんは汗かきなので、薄着+重ね着で調整を。

赤ちゃんのあせもQ&A

Q. 赤ちゃんにぬり薬を使う場合は、保湿ケアをしない方がいい?

A. ぬり薬を使うときは、赤ちゃんの肌の状態にあったケアが必要です。医師や薬剤師と相談のうえ必要な対処を行いましょう。

Q. 赤ちゃんのあせもにワセリンは使っても大丈夫?

赤ちゃんのあせもにワセリンは使っても大丈夫?

A. ワセリンは汗腺の出口や毛穴を詰まらせて、あせもが悪化することもあるため、使用を避けたほうがよいでしょう。皮膚科などでは、ヒルドイドローションや、ビーソフテンローションなどのさらっとしたローションタイプの保湿剤が使われることが多いです。

Q. 赤ちゃんのあせもにベビーパウダーはだめ?

A. すでに湿疹ができている場合は、かえって汗疹を悪化させてしまうこともあるためベビーパウダーの使用を控えましょう。ただし、あせもの予防として適切にケアをすれば効果的です。お風呂などの後に水分をよく拭き取り、肌が乾いてから薄くパウダーをつけるのがポイント。量をつけすぎたり、体が湿っているとダマになり、汗腺を塞いであせもの原因になるので注意しましょう。

あせもは清潔+保湿のホームケアで防げます

あせもは清潔+保湿のホームケアで防げます

大人でもつらい猛暑が続く近年の夏。あせもは赤ちゃんによくみられる肌トラブルですが、過酷な季節を赤ちゃんが少しでも快適に過ごせるように、できる限り予防してあげたいですね。

日々の「清潔」と「保湿」のケアで、かわいい赤ちゃんの肌を守ってあげましょう。あせもができても、焦らず皮膚を清潔に保つためのホームケアを丁寧にしてあげれば、自然と治ることがほとんど。困ったことがあれば、かかりつけの医師に相談してくださいね。

「赤ちゃんの肌荒れ」知っておきたい予防と対処法まるわかり!
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